花粉を集める

 雨季が明け、ほとんど雨の降らない寒季(涼しい季節)に入り、養蜂チームは蜜源を求めて10月15日に移動しました。これまで養蜂をしていた地域は気温が下がるので、例年通り、さらに南に約90km下った地域に移りました。この地ではミツバチをじっくり育て、来年2月下旬から始まるチェンマイでのハチミツ採蜜に備えます。というわけで、この時期はローヤルゼリーの採乳はお休みし、巣分けを中心に働きバチを増やしています。11月下旬現在で、約1,500箱までに増えていました。



2.花粉を集めるための器具を巣箱の出入口に取り付ける


3.花粉だけが下の容器に落ちる仕組み


4.集めた花粉に風を送り、均等のサイズに整える


5.機械の上に置かれた花粉

 そして、この時期のもう一つの作業といえば、「花粉」を集めることです。ミツバチの食事はハチミツと花粉です。ハチミツは、エネルギーをつくりだす糖を主成分としており、つまり「主食」と言えます。

 一方「花粉」には、身体をつくるタンパク質、アミノ酸をはじめ、脂肪酸やビタミン、ミネラルなど、あらゆる栄養素が含まれており、「おかず」に例えられます。

6.集めてきた花粉を巣房に保存中、ハチミツを塗って「ハチパン」と呼ばれる保存食にする

7.花粉は蜜原によって色が違ってくる

8.巣枠にこぼれ落ちた花粉を食べるミツバチ

9.巣房が光って見えるのはハチミツ、薄黄色に詰まっているのが花粉




 巣箱の出入口に花粉を集めるための器具を取り付けるのですが、両後ろ足に花粉団子をつけたミツバチが巣箱に入る際、金網に引っかかって花粉だけが落ちる仕組みになっています。


10.タイ語で「マヤラート」と呼ばれる野花、花粉は茶色になる





 花粉を集める作業は、1年を通して僅か20日から1ヶ月程度です。今年は300~400巣箱に器具をつけて花粉を集めましたが、蜜源の花や巣箱の状態を見ながら、11月15日にはそれらを外しました。 


11.蔓性の植物で白い花をつける野花、

花粉は白くなる

 



 過去には1,000kgも取れた年があったのですが、今年は雨不足で野生の花が少なかったので、全体でも100kgぐらいしか取れなかったそうです。 


12.花粉

 これらの花粉、乾燥させて健康食品として売られることもあります。最近では、バランスのとれた栄養が注目され、花粉症の軽減や更年期障害、前立腺肥大、頻尿・残尿などに効果があると期待されています。

 

 一方で、白っぽい色で粒状になりにくい花粉は値段も安いので、保存しておいて採蜜の時期に水と大豆の粉で練ってミツバチの補助食として巣箱に入れる、というような使い方もしています。




乾燥させて保存していた花粉は、

採蜜の時期に補助食として巣箱に入れることもある

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現地レポート

2015年12月号


<写真の解説>

1...後ろ足に花粉団子をつけた働きバチが、巣箱の出入口に戻ってきた

 

2...花粉を収集する器具

 

3...器具のしくみ

 

4...花粉に風を送る機械

 

5..乾燥した花粉

 

6...花粉を保存するミツバチ

 

7...花粉 

 

8..花粉を食べるミツバチ

 

9..巣房に蓄えられた花粉 

 

 

10.花粉の色が茶色になる「マヤラート」 

 

11..花粉の色が白色になる野花

 

12..いろいろな色が混ざった花粉